酸蝕症②

 昨年末のブログで少し触れましたが、歯が酸によって溶けてしまう病気を「酸蝕症(さんしょくしょう)」と呼びます。前回の記事では外因性因子のひとつである飲食物に関してお話ししました。

 

 今日は、職場によって起こる酸蝕症についてお話しします。

 

歯は酸によって溶けるとお話ししましたが、なにも食べ物だけが酸性に傾いているわけではありません。空気が酸性に傾いている場合にも酸蝕症は起こります。例えば、作業環境中に発生した酸のガス、蒸気、ミストなどです。

 

酸を使用する業務において酸蝕症が発生しやすいため、日本では昔から工業系の職場などで定期的に歯科健診をおこないます。特にメッキやバッテリーをつくる会社での酸蝕症発生率が高くなっています。国内における職業に起因した酸蝕症の報告は発生率に幅があり、正確には把握されていません。しかし多くの報告から、平均して2040%程度の発生率ではないかと予測されています。

 

 労働安全衛生法で、塩酸・硝酸・硫酸・亜硫酸・フッ化水素・黄リン、その他歯またはその支持組織(歯茎や顎の骨などです)に有害なガス、蒸気、または粉塵を発散する場所における業務を伴う場合、半年に1度の歯科健診をおこなうことが義務付けられています。もしもご自身のお勤め先が上記のような状況の場合、酸蝕症になっている可能性があります。軽度であっても冷たいものがしみたりしますので、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けた方が良いでしょう。

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