矯正治療に時間がかかるわけ~骨の中に起きている変化~ | 佐野歯科・矯正歯科医院 | News, ブログ, 小児矯正, 矯正(大人)

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 前回、矯正治療にかかるおおよその期間についてお話ししましたね。全体的な矯正治療をしようとすると、平均的なワイヤーなどによる治療期間はおおよそ2年~2年半程度と言われます。どうしてそんなに時間がかかるのでしょうか?

 歯には“歯根”と呼ばれる根っこがあり、歯槽骨と呼ばれる骨の中にその歯根は埋まっています。矯正装置を装着することにより歯に力が加わると、歯根の圧迫された側に「破骨細胞」と呼ばれる骨を溶かす細胞が出現します。矯正では、骨が吸収されて(溶けて)できた空間に向けて歯が動きます。

 一方、歯根の圧迫された側と逆の方向には、「骨芽細胞」と呼ばれる骨を作る細胞が出現します。歯が破骨細胞によって作られたスペースに移動すると、今まで歯があった場所にスペースが出来ますが、そこを骨芽細胞によって骨形成し、埋めていくのです。

 これらの一連の骨の改造に最低2~3週間がかかり、その間は治療期間をあける必要があります。無理に短期間で歯を動かそうとすると、“歯根吸収”といって、歯根が溶けて短くなってしまうこともあるのです。また、歯根の周りにある歯根膜という組織が圧力を感じて骨芽細胞や破骨細胞を出すため、この歯根膜がないと歯が動きません。インプラントはどんなに力を加えても動かないのです。同様に、何らかの理由で歯根膜がない部分をもっている歯は動いてくれません。

 このように、歯と歯周組織の健康を維持するためには、治療と治療との間に一定の期間をあける必要があるため、矯正治療にはある程度の期間がかかることになります。1か月に歯が移動できる距離が0.5mmくらいですので、それを歯牙全体で考えると治療期間が延びるのもうなずけますね。