2026/10/04

歯周病は皆さんもよく知る病気ですが、その詳しい病態はご存じでしょうか?
今日は、歯周病で顎の骨が溶けてしまった後、どうやって治癒するかについてです。
1.歯槽骨はなぜ自然に戻らないの?
●理由①:歯周病で壊れた骨は“溶けたまま”治癒する
歯周病は、細菌による炎症で 歯を支える骨(歯槽骨)が破壊 → 吸収 という流れで進行します。
炎症が治まると、
- 腫れは引く
- 歯ぐきは引き締まる
- 出血は減る
などの改善は起こりますが、 失われた骨そのものは自然には再生しません。
●理由②:骨は「安定した環境」でないと再生できない
歯槽骨は、
- 歯が常に動く
- 細菌が存在する
- 咬合力がかかる という“動的な環境”にあるため、 骨折のように自然治癒しにくい構造です。
2.自然に戻らない場合の治療:歯周組織再生療法
失われた骨を可能な範囲で回復させるために行うのが 歯周組織再生療法(再生治療)です。
✔ 再生療法でできること
- 吸収した骨の一部を再生
- 歯の揺れを減らす
- 深い歯周ポケットを改善
- 将来の歯の寿命を延ばす
✔ 主な方法
- エムドゲイン(歯周組織再生タンパク) → 歯根面にタンパク質を塗布し、骨や歯根膜の再生を促す
- GTR法(メンブレン法) → 再生したい組織を保護する膜を入れて骨の再生を誘導
- 骨補填材(人工骨) → 欠損部に人工骨を入れて再生をサポート
✔ 再生できる条件
再生療法は万能ではなく、以下の条件が揃うと成功率が高くなります。
- 垂直性の骨欠損(3壁性など)
- 喫煙していない
- プラークコントロールが良い
- 炎症がコントロールされている
- 咬合が安定している
3.再生療法ができない場合の治療
骨が再生できないケースでは、 「これ以上骨を失わせない」ことが治療の中心になります。
✔ スケーリング・ルートプレーニング
細菌を徹底的に除去し、炎症を抑える
✔ 歯周外科(フラップ手術)
深いポケットを改善し、清掃しやすい環境にする
✔ 咬合調整
過度な力がかかっている場合は調整して骨の破壊を防ぐ
✔ 動揺が強い場合
- スプリント固定
- 場合によっては抜歯 → インプラント・ブリッジ・義歯
