2026/09/16

今回は歯に凸凹が多い「叢生」について、後戻りの起こりやすさや原因を見ていきましょう。
【叢生が後戻りを起こしやすいケース】
① 歯列弓がもともと狭い(Narrow arch)
- 上下顎の歯列弓幅(顎のアーチ)が小さい
- 歯槽基盤(歯が生える部分の顎の骨)が狭く、歯が並ぶスペースが不足
- 拡大量が大きい治療を行ったケース
→ 生体は“元の狭い形”に戻ろうとするため、後戻りしやすい。
② 歯のサイズが大きい(Bolton discrepancy)
- Bolton比が大きい(歯のサイズの)
- 歯冠幅径が大きく、スペース不足が慢性的
- 歯列の中で「押し合い」が起こりやすい
→ 並べても、わずかな力で再び重なりやすい。
③ 非抜歯で無理に並べたケース(スペース不足のまま排列)
- 歯のサイズを少しだけ調整することのみで無理にスペースを作った
- 歯列弓を過度に拡大した
- 歯根の位置が歯槽骨の外側に近い
→ 歯槽骨の“許容範囲”を超えると、元の位置に戻ろうとする。
④ 舌癖・口唇癖がある(Tongue thrust / Lip habit)
- 舌が低位で、前歯を押しやすい
- 口唇圧が強く、前歯を内側に押し込む
- 嚥下時に舌が前歯を押す
→ 歯列のバランスが崩れ、叢生方向に力が働きやすい。
⑤ 口呼吸(Mouth breathing)
- 舌が低位になり、歯列の内側からの支えが弱い
- 口唇閉鎖力が弱く、歯列が不安定
- 歯肉炎で支持組織が弱くなる
→ 歯列が外側に広がらず、叢生方向に戻りやすい。
⑥ 歯根の平行性が不十分(Root parallelism不足)
- スペース閉鎖後に歯根が傾斜している
- 歯冠だけ整っていて、歯根が整列していない
- 歯根膜の緊張が残る
→ 歯根が元の方向に戻ろうとし、叢生が再発しやすい。
⑦ 成長期の治療で、顎の成長方向が不利だったケース
- 下顎が狭く成長
- 上顎が前方成長し、スペース不足が再発
- 思春期成長で歯列弓が変形
→ 成長による“自然な変化”で叢生が戻りやすい。
⑧ 保定装置の使用が不十分
- 保定装置の使用が不安定
- リテーナーが合わなくなっても放置
- 固定式保定を早期に除去
→ 叢生は特に“保定の質”が結果を左右する。
◎特に注意すべきポイント
✔ 歯列弓幅の評価(特に下顎)
狭い下顎は叢生後戻りの最大リスク。
✔ 舌の安静位(スポットに乗っているか)
低位舌は叢生再発の強力な因子。
✔ IPR量と歯根の位置
IPR過多や歯根の皮質骨接近は後戻りしやすい。
✔ 歯根の平行性(レントゲンで必ず確認)
歯冠だけ整っているケースは要注意。
叢生は“スペース不足”が原因なので、治療後も少しの力で歯が重なりやすいタイプです。
だからこそ、保定と習癖改善がとても大切です。
矯正治療についてのQ&A(日本矯正歯科学会)
