虫歯のできかた①

 ある日、矯正相談にいらした患者さんのお母さまに虫歯があることをお伝えすると、「この前治療したばかりで、その時は指摘されなかったのに!見落とされたんでしょうか?」とおっしゃいました。いえいえ、虫歯というのはあっという間に進行するのです。では実際に、どのくらいで虫歯はできるのでしょうか?

 

まず虫歯というものは3つの要因によって発生します。

  • 宿主(ヒトの歯)
  • 微生物(虫歯の誘発菌)
  • 食餌(ショ糖など)

Keyesという昔の学者が提唱したのですが、これらが絡み合って虫歯が発生するのです。最近では4番目として「飲食からハミガキまでの時間」も関係してきますが、ヒトの歯は遺伝によって異なりますし、微生物も口の中に住んでいるため追い出すのは難しいですが、我々がアプローチしやすい食べ物についての報告がありますので紹介します。

 

 実験としてはハムスターを使ったものですが、糖分(ショ糖)が多く含まれた食事を用いることで短期間かつ高率に虫歯を発生させることができたと報告されています。また、その時の食事の形状によっても影響が出たそうです。糖分の細かい方が虫歯になりやすく、進行も早かったこと、水分が多い食べ物のほうが虫歯になりにくかったこと、糖の量が多い方が虫歯になりやすかったことを述べています。キャラメルなどの粘着質なお菓子は歯にくっついてしまい口の中に糖分が残りやすいので、特に虫歯になりやすいそうです。

 実験開始から4週間後で口の中にいる菌のうち、虫歯菌が80%を占めるように変化します。普段は別の菌がいてバランスが取れていても、糖を与え続けると虫歯菌の割合が増えていくのです。すると虫歯の進行速度も上がります。

 

 長くなりますので、続きはまた明日!

 

参考文献:和田聖一 う蝕の発生および進行機序に関する実験的研究 口腔衛生学会雑誌1983年32巻5号 p.563-578

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